都心の大動脈となった尾根道

半蔵門から西へ伸びる麹町大通り(新宿通り・甲州街道)は現在では物流の大動脈として欠かせない存在ですが、江戸時代以前はもう少し北側がメインストリートでした。
旗本を番町に住まわせ守りを固める一方で、万が一の時には将軍を江戸から逃すための退却路を確保しておく必要があったため、広く平坦な道になり得る台の尾根道を大通りとして整備していったのです。
麹町大通りを南北から見てみると、周囲から盛り上がっている場所であることが一目でわかります。高所なので見晴らしがよく、付近を確認しながらの移動がしやすくなっています。


こうしてできた大通りは、現在では緊急輸送道路に指定されていて、大規模な地震など災害が発生すると、緊急輸送車両の通行を優先して一般車両は制限されます。形は違えど有事への備えという役割は時代に関わらず変わっていないのです。

同じく大通り沿いには尚泉水(しょうせんすい)の碑があります。関東大震災の折には、この井戸の水が災禍に見舞われた人々の貴重な飲み水になったことが伝えられています。
この尚泉水に限らず、大通りの北側の台地に位置する麹町、さらには番町の地域では、井戸水で生活用水を賄うことも多かったようです。


<当日配付資料>

当日配布資料(画像)

 

 

 

 

 

 

 


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